街を歩いてみると驚くほど緑が多い池尻大橋は、お隣の渋谷から東急田園都市線で一駅のところという高い利便性を誇り、中目黒や代官山、駒場東大前も近く、スーパーマーケットや飲食店、学校や病院や公園が充実していて買い物や食事、暮らしていくには素晴らしい環境です。
豊富な緑だけでなく学校や病院、公園が池尻大橋に多い理由は、いまから130年ほど前の1891年(明治24年)に遡ります。
当時、陸軍の各部隊並びに練兵場がこの池尻に移駐してきたことで、池尻大橋には軍の施設が建設されて、その時の軍の施設の広大な敷地が後に学校や病院、公園などに変わっていったのです。
また、軍の施設があったため軍の中でも偉い将校などは、渋谷付近に家を持って池尻大橋にある軍の施設に通勤するようになったことから、交通の便も当時から整備され続けていました。
そして現代、わたし達は緑多く住み心地のいい環境という当時の恩恵を受けています。
機能性の高さと住環境の良さが魅力の物件
今回リノベーションさせていただいた物件は、池尻大橋にもお隣の三軒茶屋にも行きやすい立地にあるこちらの築30年余り経っているマンションです。
こちらのマンションは既に以前のお部屋の状態が無いコンクリート打ちっぱなしの状態の時に出会い、壁紙ひとつ選びながら設計していきました。
1LDKというお部屋のつくりから、住まわれる方はお一人あるいはお二人だと考え機能性だけではなく、照明からデザインにこだわってつくり込んでいきました。
玄関の照明は高く温かく柔らかく
仕事を終え、帰宅して玄関の扉を開けてほとんどの人がまず真っ先にすることは、玄関の照明をつけて、そこでまずは最初の“ホッ”と一息をつくことだと思います。
そんな玄関の照明が無機質で冷たい蛍光灯よりも、高い位置から温かく柔らかく照らしてくれる照明だったら…きっと、気持ちも落ち着くはずです。

扉を開けた瞬間に目に入る光景
どれだけ室内が綺麗で快適だったとしても、玄関の扉を開けた瞬間に目に飛び込んでくるお部屋の光景が例えば、壁で圧迫感があったりすると室内の快適さも半減するものです。
そう考えると、入り口からお部屋までの設計にはとても気を使います。


シューズケースは見た目も重視
特に女性にとっては収納スペースの中でもシューズケースに重点を置いている人も少なくありません。
このお部屋に住まわれる方が女性だったら、足元のお洒落から気にかけていらっしゃる方だったら、玄関のシューズケースは機能的で見た目も良いものを選び設置しました。


最新の設備を揃え機能的などこか懐かしいバスルーム
身体を綺麗にするだけではなく、一日の疲れを流し気持ちを癒す場所として重要なバスルームは、最新の設備を揃えて置きました。
それでも、無機質な空間と化しているバスルームが多い中で壁の一面に木のぬくもりを置くことで視覚的にゆったりとした気分に浸れます。



毎日何度も使う場所だからこその洗面スペース
“顔を洗う”、“髪の毛をとかす”、“歯を磨く”、“手を洗う”、“メイクをする”といった日常の小さな行為の多くをわたし達は洗面スペースで行っています。
それは、平日・休日問わずに一日数回、わたし達が利用するこの場所を機能的に設計していくことでスムーズに暮らせるようにしていきました。


限られた空間で出来ることをすべて
こんなアンケート結果があります。“トイレで用を足す以外にすることは?”の回答に70%近くの人が、“考え事をする”と答えていました。
鍵をかけてしまえば、確実に一人になれるトイレという空間、設計上それほど広いスペースを取ることは出来ませんが、天井が高いので圧迫感はなく、快適に過ごせるように意識してつくりました。

水回りの統一感を
どんな住居でも、空間には制限があります。その制限の中で、生活に必要なものをどう配置していくか?がお部屋の設計時に問われます。そのひとつに洗濯機を置くスペースがあります。
少し前まではベランダに設置するという手段がありましたが、どうしても外ということから、洗濯機そのものが汚れてしまうという難点がありました。今回はバスルームと洗面スペースと洗濯機置場を同居させました。

デザイン性を重視しつつも高い機能性
こちらの1LDKのお部屋に住まわれるのはお一人かお二人だと想定した時にキッチンの設計はコンパクトで良いのか?それもと、ある程度料理が出来るように設計した方がいいのか?という選択肢があります。
そこで、今回はある程度の料理は作れちゃうような高い機能性を保持しつつも、デザイン性を重視した設計にしました。



どこまでもくつろげる空間を
“明るいお部屋”というのは理想かもしれませんが、“明るすぎるお部屋”というのはどこか不快なものです。こちらの池尻大橋のお部屋はご覧の通り、光が良く差し込み明るいお部屋ですが、お部屋の明るさの快適度は人それぞれだと思います。
そこで、木のブラインドを取り付け、入り込む光量を微調整出来るように設計しました。


こちらは、お部屋とダイニングルームの空間を調整しているパーティーションです。パーティーションを閉じれば、普通にお部屋としてくつろげて、来客時にはパーティーションを開けて広く空間をお使いいただけます。

こちらは、お部屋にあるクローゼットです。ご覧の通り、天井まで届く大きなクローゼットですので、ロングコートもしっかりかけられます。


ダイニングルームから玄関へ続く廊下
もし、こちらのお部屋をカップルがお住まいになったら、どちらかが帰宅した時にすぐにお出迎えが出来るように、ダイニングルームから玄関へ続く廊下と玄関の扉を一直線上に設計しました。
もちろん、玄関の空間と廊下の間には扉を付けてあるので、例えば宅配業者さんなどがお荷物を届けてくださった時などはプライバシーを守れるように設計しています。


見晴らしのいいベランダ
都心部の住宅地の場合、どうしても建物と建物が密接しているところが多いのですが、こちらの池尻のお部屋は隣の建物との間に十分なスペースがあるため、圧迫感を感じることなく快適な生活環境です。
