「何故?三軒茶屋にはこんなにお酒を飲めるお店が多いのでしょうか?」
これは初めて三軒茶屋を訪れた時に感じた疑問でした。
渋谷から東急田園都市線で二駅の距離にあるこの人気のエリアには駅前だけではなく、住宅街にも至る所に飲食店、それもお酒を提供しているお店をよく見かけます。
これはこの街の人口や訪問者数を考えても、多すぎるのでは?と感じてしまいます。当然、飲食店もビジネスでやっているので、需要と供給のバランスは大事です。そう考えるとそれだけ三軒茶屋でお酒を飲む人が多いということになります。
では、何故?三軒茶屋にはお酒を飲む人が多いのか?
それはこの三軒茶屋という街は雑多な文化が入り混じる街で、次の時代が生まれる独自の文化を発信しているからではないでしょうか。
つまり…言葉を換えればこの街に集う人々同士、様々な文化交流があるということになります。
人々の交流…それには、食とお酒が欠かせません。
それが、三軒茶屋にお酒を飲めるお店がやたら多い理由のひとつだと言えるでしょう。
今回のリノベーションの事例は、そんな人々の交流の場であるお酒が飲める空間、Barです。
駅から徒歩2分のビルの4階に
こちらのビルは246号線・世田谷通り沿いにあります。東急田園都市線・三軒茶屋の駅からは徒歩2分という好立地。
1階にはメキシコ料理店、2階には焼き肉店、3階には小料理屋が入っていて今回リノベーション工事を担当させていただいたのは、4階の一部分です。
4階の空間を半分に区切った246号線沿いの空間になります。
4階の高さから三軒茶屋の街を見下ろせる場所
飲食店の多くはその採算性から1階、最低でも2階や地下など地上からお客さんが出入りしやすい場所に店舗を構えます。これは、人の導線を考えると当然のことで店舗の立地はダイレクトに集客や収益に影響してきます。
また、雑居ビルに入居しているような飲食店は個室を提供することを前面に打ち出したりしています。
そのため、窓から地上を眺められるという飲食店は意外に少ないのではないでしょうか?
今回リノベーションを手掛けたこちらのBarはビルの4階部分の道路に面しているスペースに作られていて、カウンター席から三軒茶屋の地上を眺めることが出来るという珍しい作りになっています。
奥行きのある空間の賢い活用
長方形の空間があって、そこを最大限有効に活用しようと考えた時、わたし達人間の目の錯覚をうまく利用するという手があります。
例えば、同じ長方形の空間でも広く見せるために効果的なのは、遠近法を用いた奥行き感の演出です。人間の目は空間の間口からどれだけ奥行きがあるかに対して、広さというものを感じます。
そこを上手く利用することで、同じ長方形の空間でも長辺方向から空間に出入りするよりも、短辺方向から出入りするほうが広く感じます。
今回のリノベーション事例のBarも長方形の空間ですが、短辺方向に出入口を設けることで広く感じるという奥行き感を演出しています。
カウンターの前に壁一面に広がる窓
人が座るカウンターの全面に窓があることも、空間の広がりを演出する効果があります。
それは目線が外に抜けることで、人は無意識に広がりを感じ実際の空間の広さを意識しなくなるからです。
よくBarのカウンター席の正面が鏡になっているところがありますが、それは壁を意識させないような配慮をしているということです。こちらのBarは鏡ではなく、一面に窓を設けることで視線の抜けを作り、実際の何倍もの広さを感じるように設計しています。
新しいBarのあり方のために
リノベーション工事が完了したこちらのBarはレンタルスペースとして様々な人々に利用していただけるようにしました。
ビルの4階にある隠れ家として、様々な利用用途に使っていただけるように最低限必要な設備を完備しています。
こちらのBarは三軒茶屋saloonという名称でどなたでもご利用いただけます。詳しくは、三軒茶屋saloonのウェブページをご覧ください。